オーストラリアについて
Australia in Brief
ユニークな環境
オーストラリア大陸はおよそ100万の異なった種が存在するユニークな土地で、ほとんどの淡水魚類や半数近い鳥類とともに、国内の顕花植物、哺乳類、爬虫類や蛙の80パーセント以上はオーストラリア固有の動植物である。
大陸を取り巻く海洋には、4,000種の魚、1,700種を超えるサンゴ、50種の海産獣類、様々な種類の海鳥が生息している。南部の海洋で見られる生き物のほぼ80パーセントは、世界中でオーストラリアの他では見られない。
腹に袋を持った有袋動物は140種類を超え、その中にはコアラやウオンバット、今ではタスマニアの自然にしかいないタスマニア・デビルなどがいる。もう一つのユニークな動物は卵生哺乳動物の単孔類で、「生きた化石」とも呼ばれている。最も特徴的なのはカモノハシで、川辺にひそみ、アヒルのようなくちばしで、体は毛皮で覆われ、水かきの付いた足がある。
環境への挑戦
人が住む地球上の大陸の中で、オーストラリアは最も乾燥しているので、特に気候変動からの挑戦に弱い。2001年以来、オーストラリアの大部分が厳しい干ばつに見舞われている。
気候の変動は、そうでなくても変わりやすいオーストラリアの環境を悪化させ、多様な生態系に影響を与え、脆弱な環境に重大な問題を投げ掛けようとしている。特に、オーストラリアの山岳地帯、グレート・バリア・リーフ、熱帯雨林、沿岸のマングローブやカカドゥのような湿地帯など、特殊な地帯に大きな脅威になっている。
生物は多様だが、オーストラリアの土壌と海は世界で最も肥沃さに乏しく、非生産的である。オーストラリアの土地は全体のたった6パーセントしか耕作に適していないとされ、この率は世界でも最も低い国に属する。地表や地下から大量の水の補給を必要としている。しかし乾燥地の灌漑のため地下水を汲み上げると水位と塩分が上昇してしまう。
オーストラリアの土壌は養分を作り出したり、安定するのに地表の植物に大きく依存している。開墾、地下水の汲み上げ、お粗末な土壌保全などのすべてがオーストラリアの地質を劣化させる原因になっている。 オーストラリアでは、少なくとも18種の外来哺乳類が野生化して住み着き、ネコやキツネは数種類の固有の動物を減少や絶滅に追い込んだ。
外来の植物も、固有の草木や生育地に大きな被害を及ぼしている。
人間の行為によって、海洋の環境も被害を受け続けている。汚染は最も深刻な問題であり、海洋汚染の大部分は、土壌浸食、肥料の使用、大量の動物飼育、下水や都市の産業排出などを含めた、陸上での活動が原因になって発生している。
未来のための水資源
水不足は、オーストラリアの経済と生活様式にとって深刻な脅威になっている。オーストラリア政府は、「未来のための水資源」(Water for the Future) と名付けた、水に対する国家の10カ年計画に、129億ドルを投入している。
この計画は、地方と都市の水の問題を統合した、単一の一貫した全国的枠組みを作るものである。これによって、国内の河川系を正常に保つための水の供給と共に、オーストラリアの家庭、ビジネス、農業のために給水を確保しようとしている。
「未来のための水資源」計画は四事項を優先している。第一は、排出権取引、研究支援、農業政策への適応反応の統合、地域社会や家庭に対する太陽熱給湯システムと太陽光発電システムの設置援助などを通じた、気候変動への対策である。
二番目の優先事項は、賢明な水の利用である。これは、潅漑地域に対する長期的で持続可能な将来を保証し、水を川に戻すのを援助する、地方での水利計画に対する投資、各家庭と全国のサーフ・ライフセービング・クラブにおける雨水貯留タンクと雑排水パイプの設置や、商業用水の大口使用者の節水計画の奨励などである。
三番目は、脱塩淡水化、リサイクル、洪水貯留などの計画への投資や、パイプライン、節水インフラ、水処理所のような実用計画への資金提供などを含めた対策を通じて、家庭やビジネスに対する給水の確保である。
最後に、「未来のための水資源」計画は、自発的な売り主から水利権を買い戻し、水利用と管理に関わる効率と生産性を向上させるプロジェクトに投資し、オーストラリアの茶わん(foodbowl)とも呼ばれる大量の農産物を生産するマレー・ダーリング川流域で、持続可能な水管理計画に関する新しい取決めを設定することによって、オーストラリアの河川を正常化するのを目的にしている。
ご存知ですか?
- 世界の多様な生態系のおよそ10パーセントがオーストラリアにある。
- 国内で育つ維管束植物(シダ植物類と種子植物類)推定20,000種の内、16,000種が他にはないオーストラリア固有の植物である。
- オーストラリアの哺乳類378種の内、80パーセント以上が固有の種である。
- オーストラリアの爬虫類869種の内、773がオーストラリア固有の種である。
国家遺産の保護
オーストラリア政府は、国の重要な遺跡の保護や保全と、これらの持続可能な利用を約束している。国家遺産リストは最も重要な遺産の登録であり、国にとって特に重要な場所を確認し、保護するための様々な法律によってできたものである。
このリストには、国としての独自性を樹立するのに貢献した自然や歴史、先住民に関わる重要な場所が記載されている。現在までに34ヶ所が登録され、その数は増え続けている。
オーストラリアの国立公園と保護区
オーストラリア大陸の11パーセントを超える、90万平方キロ以上が保護されている。550以上の国立公園と6,000の保護区があり、そのすべてが連邦や州、特別地域などの法律で守られている。さらに保護される海外領土には、ノーフォーク島、ロード・ハウ島、クリスマス島、マッコーリー島、ハード島とマクドナルド諸島、および南極特別保護地域が含まれている。毎年400万人以上がオーストラリアの国立公園を訪れている。
発展を続けるオーストラリアの自然保護制度は、地域に適した規模ですべての生態系のサンプルを含めようとしている。この制度には国立公園、先住民保護地区、自然保護地区、自然保護公園、および私有地内の保護地域などが含まれる。
海洋保護区は200あり、ほぼ6,500万ヘクタールを占めている。その中には、グレート・バリア・リーフ海洋公園、魚類生息地域や魚類保護・保全地域などが含まれる。オーストラリア政府は、31地域に責任を持ち、残りは州や特別地域が管理している。
カカドゥ、ウルル・カタジュタ、およびブーデリー国立公園の土地所有権は先住民の地主たちにある。この地主たちは、これらの地域の国立公園としての運営を、国の公園局に委託している。公園の自然保全と訪問者管理計画に対する方針の決定と指示は、先住民が過半数を占める管理委員会が行っている。
カカドゥ国立公園は北部準州の州都ダーウインの東120キロメートルの地点にあり、ほぼ200万ヘクタールを占めている。カカドゥの豊かな自然資源は、少なくとも2万5,000年にわたり人類の生存を支えてきた。ウルル・カタジュタ国立公園はオーストラリア中央部で13万2,566ヘクタールの面積があり、アナング先住民部族が所有している。ブーデリー国立公園はニュー・サウス・ウエールズ州にあって、6,400ヘクタールある。古くからの土地所有者たちは、この地域を若者たちのための自然教室や食料や薬の採集に利用している。
国土の愛護
オーストラリア政府が22億5,000万ドルを拠出する国土の愛護 (Caring for our Country)計画には、気候変動に対処するため全国の公園や保護地域のネットワークへの1億8,000万ドルを超える新しい投資が含まれている。公園の役割として、ピグミーポッサム(プーラミス)、キノボリカンガルー、ウサギワラビーなどのような気候変動の影響を特に受けやすい、オーストラリア固有動物の主な生息環境の保全に尽くす。
世界遺産
現在オーストラリアでは16ヵ所が世界遺産リストに登録されている。グレート・バリア・リーフ、タスマニアの原生地帯、クイーンズランドの湿潤熱帯地域、およびシャークス湾は自然遺産の4つの基準をすべて満たしている。カカドゥ国立公園、ウルル・カタジュタ国立公園、プルヌルル国立公園、ウィランドラ湖群地帯、およびタスマニア原生地帯は、自然と文化の複合遺産として登録されている。
オーストラリア哺乳類化石保存地区、ロード・ハウ群島、中東部多雨林保護区、フレーザー島、マッコーリ島、ハード島とマクドナルド諸島、ブルー・マウンテン広域は、自然遺産として登録されている。
シドニー・オペラ・ハウスは、2007年に世界遺産に登録されたオーストラリアで二番目の建造物になった。1973年の完成以来、オペラ・ハウスは全世界の人々の創作力を捉え、国民の文化的象徴になっている。文化的価値で最初に登録されたオーストラリアの建造物は、メルボルンのロイヤル・エキシビジョン・ビルとその周辺のカールトン・ガーデンズである。
グレート・バリア・リーフは、オーストラリア北東の大陸棚に2,000キロメートルにわたって広がり、ほぼ3,500万ヘクタールの面積を占めている。フレーザー島の北部からヨーク岬の先端に達し、様々な海洋生物の生息地になっている。この海域はザトウクジラの主要な繁殖地でもある。
クイーンズランド州の北東沿岸にある湿潤熱帯地域は原生雨林の89万4,000ヘクタールを占め、デインツリー渓谷の中心部にある。雨林では地球上の植物進化の重要な段階の記録がほとんど完全な形で残されていて、ここだけでしか見られない多くの珍しい植物や動物の生育地になっている。ここにいる動物の種類はオーストラリアで最も多い。
タスマニアの原生地帯は、州のおよそ20パーセント(138万ヘクタール)を占める。ここは今も南半球に残るたった3ヶ所の温帯原生地帯の一つである。あらゆる地質年代の岩石があり、植物の多様性にとっても重要な中心地である。ここに生えているヒューオン・パイン(マキ科の常緑樹)は、樹齢2,000年のものもあり、世界最古の樹木に属する。オーストラリア大陸ではすでに絶滅した何種類かの動物もここに住み着いている。原生地帯には、最後の氷河期に人類が生存していた証拠があり、これまでに発見されたなかでは最も南に位置している。
シャーク湾はオーストラリア海岸の最西端にあり、230万ヘクタールの面積がある。ここには3つの主な気候帯が寄り集まり、実に多くの海洋や陸地の生物が生息している。絶滅が危惧される多くの動物の重要な保護区であり、地球上最古の生命形態ストロマトライトの多様で豊富なサンプルが見られる。
ご存知ですか?
ウォレミ松 (Wollemi pine) は、1994年にニュー・サウス・ウェールズ州ブルー・マウンテン山系の奥深い渓谷で発見された。およそ6,500万年ほど前の恐竜時代に繁茂した樹木の代表的な種類と考えられている。