スピーチ・ステートメント・メディアインタビュー
「貿易の恩恵を途上国へ」
サイモン・クリーン貿易大臣
2008年11月13日
スピーチ DFAT_20081113
金融危機の今、国際貿易システムの強化は不可欠である。保護主義への回帰を考える国があるかもしれない中で、貿易改革を促すには強力なリーダーシップが必要である。
世界貿易機関(WTO)の加盟国は、ドーハ・ラウンドの世界貿易交渉を締結させる上で明らかな選択を迫られている。他人事を決め込んで、経済危機等のためドーハ・ラウンドの妥結は今不可能であると言うか、あるいはWTOが世界経済への信頼を高める上で時機を得た大きな貢献を行えるよう新たな努力を行うか。
私は、後者を選ぶべきであると確信している。
ドーハ・ラウンドは、世界の市場を大きく押し上げる原動力となり得る。農業貿易におけるゆがみの是正は、サービス分野におけるより開かれた貿易と同様途上国に直接の恩恵をもたらす。ドーハ・ラウンドが今年の早い時期における交渉の前提で合意に達していたとしたら、その恩恵を主に受けるのは途上国であっただろう。関税改革により節約できる費用全体に途上国が占める割合は3分の1に過ぎないが、改革による恩恵が及ぶ割合では途上国が3分の2を占めると思われる。
WTOはもはや行動を移す時を迎えている。
オーストラリアの貿易政策は、海外輸出品の市場アクセス向上と国際競争力強化のための国内構造改革という二本柱で成り立っている。自らの経済が競争力と生産性を持たない限り、オーストラリアは海外市場における貿易自由化の恩恵に授かれない。
途上国もまた同様の課題に直面している。途上国が構造改革を拡大するだけのキャパシティーを持たないのに、そうするよう促すことはできない。
ラッド政権は発足にあたり、オーストラリアの政府開発援助を2015年までに国民総所得の0.5パーセントにまで引き上げると表明した。この目標を達成するために、年頭の予算編成において多大なる額を計上した。
オーストラリアは他の援助供与国と同様、幅広い方針の下で貿易に対する援助を支援している。この支援には途上国による制度面でのキャパシティー醸成と、こうした国々が経済の競争力を高めるための具体的措置の両方が含まれる。
我々はキャパシティー醸成への支援を、すでに近隣諸国にて開始している。ラッド政権は太平洋諸国とのパートナーシップを通じて、その安定や成長、繁栄を促進する取り組みを行っている。
ニウエで開催された太平洋諸島フォーラムの参加国首脳は、当地域がより大きな経済統合の追求を優先すべき点で合意した。また2009年の次期会合でPACERプラスとして知られる地域の経済枠組みについての交渉開始に向け行動する点で合意した。
オーストラリアは太平洋諸国が地域経済により深く関与し、こうした国々が拡大された市場アクセスの機会を最大に活用できるよう支援したいと考えている。我々は太平洋の近隣諸国が域内外で貿易を行うキャパシティーを拡大できるよう、これらの国々と共に取り組みを行う。オーストラリアは地域の教育・訓練イニシアチブに対する資金の提供を表明しており、最近では「太平洋季節労働者パイロット計画」を発表した。この計画はキャパシティー醸成の一環として、労働移動性の概念を技能の習得につなげるのを目的としている。
我々がより平等で大掛かりな世界経済の発展を目指す中で、貿易改革と開発援助は互いに補完関係にある。途上国が世界の貿易システムにより深く関与することで恩恵を得られるよう、こうした国々のキャパシティー醸成には整合性のあるアプローチが必要である。
オーストラリアは貿易に対する支援の取り組みやより公平な世界貿易への支持を通じ、途上国が国際貿易から十分な恩恵を得られるよう支援していく用意がある。
貿易と援助の両方を連携させた整合的な政策により、持続的な経済成長を通じて世界の貧しい者に自立する力を与える最大の可能性が開けてくる。
サイモン・クリーン:現貿易大臣。本稿は2008年10月15日にキャンベラで同大臣が「第2回隔年開催アラン・ウェスターマン卿記念講演会 ・オーストラリア貿易政策」で行ったスピーチを編集したものである。スピーチの全文はhttp://trademinister.gov.auに収録されている。