オーストラリア大使館東京

This site looks simple because you don't have a Web Standards compliant Web Browser. You can't see the site design, but all of our content is still available. Please enjoy your stay and consider upgrading your browser to view our full site design.

スピーチ・ステートメント・メディアインタビュー

スティーブン・スミス外務大臣 日豪会議夕食会での演説
「包括的な経済、安全保障、戦略的パートナーシップ」

2010年2月11日
スピーチ DFAT_20100211

三村明夫共同議長、ロッド・エディントン共同議長

オーストラリア連邦議会の皆様、大使閣下、豪日交流基金理事会の皆様、

ご来賓の皆様、ご列席の皆様

今夜は第6回日豪会議の夕食会に出席することができ、大変嬉しく思います。

多くの皆様には遠方よりはるばるお越しいただきました。皆様を賓客としてオーストラリアに歓迎いたします。

それぞれ日豪経済委員会および豪日経済委員会の会長としてご尽力いただき、また2008年の前回日豪会議開催以来、強力な指導力を発揮しておられる 三村明夫共同議長とロッド・エディントン共同議長に対しお礼申し上げます。

また、日本における我が国に対する認識を高めるなど、両国関係の構築にご努力いただいております豪日交流基金のピーター・コリッシュ氏をはじめとした、同基金の過去、現在の理事会の皆様に対し感謝いたします。

同基金による、本会議に対する寛大な財政的支援に対しましても心よりお礼申し上げます。

第1回日豪会議は2001年オーストラリアにおいて開催されました。

本会議は両国の各分野におけるリーダーが一堂に会し、政治・経済協力や教育、科学、メディア、芸術、文化など日豪関係のあらゆる側面について話し合うことを目的として設立されました。

2001年の第1回会議はシドニーで開催され、両国のジャーナリストや国会議員、財界や学術界などの有識者が参加しました。

第1回会議に参加された方々は、2010年までに日豪FTA交渉が開始され、外務・防衛閣僚による年次協議が開催されることになるとは、おそらく想像だにされなかったことでしょう。

このことから、直近10年間だけをとっても、日豪関係がどれほど進展したかを伺い知ることができます。

この度の第6回会議は、両国関係の歴史において重要な時期に開催されます。

本会議は、両国関係において積極的な役割を果たしておられる各分野の有識者が一堂に会し、日本で鳩山新政権が発足して以来初めて、日豪のパートナーシップについて熟考する機会となります。

本会議はまた、本年のAPEC開催国である日本がその準備を進めている最中に開催されます。APECは日豪両国が共に設立に携わった双方にとって非常に重要な地域機構です。

日豪関係は共通の価値観や重なり合う国益、安全保障上の国際的課題に対する共通のアプローチに支えられた、戦略や安全保障、経済分野にまたがる包括的パートナーシップです。

我が国はこのパートナーシップの根本的な重要性を認識しています。

日本は我が国にとってアジアにおける数十年来最も親しく、一貫した友好国であり、日本との関係は我が国の外交・通商政策上の優先事項として中心的な役割を担ってきました。

このような関係に見られる日豪間の関与の度合いを示す例として、ラッド政権発足以来、我が国からの首相、閣僚ならびに政務次官の日本訪問が25回ほどにも及ぶことが挙げられます。

外相としての私の訪日も既に5回を数えます。

日豪両国は同様の視線に立って世界をとらえています。

両国は、共にアジア太平洋地域に位置し、人権、自由および法の支配を堅持する民主主義国家であります。

両国はまた米国の同盟国でもあります。

日豪は、共にアジア太平洋地域の平和と安定、繁栄に専心する積極的な国連加盟国であります。

昨年初頭、日本は国連安全保障理事会の非常任理事国に就任しました。

オーストラリアは、改革後の国連安全保障理事会において日本が常任理事国入りを実現できるよう、長年支援してまいりしました。

言うまでもなく、日本は我が国にとって最も重要で活気に満ちた長きにわたる経済パートナーです。日本は我が国の全財・サービス輸出のおよそ5分の1を占めており、両国の経済関係は揺るぎない経済的相互補完性に基づくものです。

ビジネスは両国間の力強い人的交流を牽引してきました。観光や教育、姉妹都市関係も同様です。

けれども、最も緊密な関係でさえ、意見が一致しない分野においては課題が生じることもあります。

例えば、両国は捕鯨に関して全く異なる立場をとっています。しかしながら、両国が大きく意見を異にしているのは捕鯨問題のみであり、日本もオーストラリアも、これが長期にわたる積年の重要な両国関係の妨げとなるのを傍観はしないでしょう。

昨年、ここキャンベラのオーストラリア国立大学で開催された第1回「クロフォード-西講義」におけるスピーチで、私は、日豪関係における次の5つの主要協力分野に関する概要について述べました。

  • 世界経済を動かすための、G20会合を通じた協調行動
  • 包括的なFTA(自由貿易協定)の早期締結を通じた、両国経済関係のさらなる強化
  • 高まる二国間防衛協力を通じた地域・国際安全保障問題への取り組み
  • 核不拡散・軍縮の推進
  • 気候変動対策のための科学・技術革新協力体制の構築

これらの日豪協力分野は、今日の主要な世界的課題に及ぶものであり、日豪両国が相補的に強みと国益を有している分野でもあります。

現在、両国にとって最も新しい喫緊の政策課題は、世界経済危機に対する協調的かつ現実的な策を講じるための支援以外にありません。

経済危機が国内に及ぼす影響を緩和し、金融市場を安定させ、世界経済を刺激するためには、迅速な対応が求められるということを、日豪両国は理解しています。

両国は、生産を支え、世界経済の減速による衝撃を緩和するための経済刺激策を講じています。

また、G20における協調的行動を推進し、世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンド妥結に向けた努力を加速させました。

昨年9月、世界20カ国・地域の首脳はピッツバーグで、G20を世界経済協力の主要なフォーラムと位置付けることで合意しました。

我が国はG20およびG20に対するアジア・太平洋地域の影響力に大きな期待を寄せております。というのも、G20 を構成する半数の国がAPECの加盟国でもあるからです。

日豪両国は、引き続きAPECがG20での協議事項を強化、拡充、実施し、当地域が世界経済危機から回復できるよう支援していきます。

本年のAPEC日本開催は、今後のAPEC内での経済協力に向けた重要課題を進展させる良い機会となります。

我が国は、アジア太平洋地域の域内経済統合、ならびに「国内問題」への焦点のずれを補足するAPECの組織原則や構造改革を進展させるべく、日本と緊密に協力していきます。

我が国は、これらの問題に対し日本が影響力を発揮している点を評価します。

我が国と日本が共に享受している戦略や安全保障、経済分野にまたがる包括的パートナーシップは両国の長年にわたる貿易・投資関係を基礎としています。

このような関係は、私の地元西オーストラリア州の鉱物・石油資源産業、特に鉄鉱石ならびに液化天然ガスの輸出に端を発しています。

日本は40年以上にわたり、我が国最大の輸出市場となっています。日本からの投資は、我が国の多くの輸出産業の発展に不可欠な役割を果たしてきました。またこの投資は、今なお我が国の経済的繁栄における大きな要素となっています。

貿易統計は日豪経済関係について雄弁に物語っています。日豪二国間貿易は過去20年で3倍に増えました。長期傾向見通しの明るさも変わっていません。

2009年における我が国の対日物品貿易黒字額は、我が国にとって世界第2位の輸入元である米国からの物品輸入額にほぼ匹敵しています。

これまで日豪両国間で貿易黒字が問題になったことはありません。これは、我が国が、日本の産業界にとって必要な高品質の産品の安定した信頼のおける供給国であることを意味しています。

そして、これら産品は日本が世界他地域との間で挙げる貿易黒字の動力源となっています。

両国の強固な経済関係と同様、この関係を次の段階に進展させるための可能性が存在しています。

我が国が、特にサービスの分野において商業的に有意義な結果をもたらす日本との自由貿易協定の締結を目指しているのはこのためです。

2009年11月の前回を含め、これまでに10回のFTA/EPA交渉が行なわれています。

一部の課題に関する交渉では進展が見られましたが、特定の主要な市場アクセスの面で難題が残っており、さらなる努力が必要です。

日豪の二国間貿易に進展が見られたように、防衛・安全保障関係の面でも両国には予想以上の進展が見られました。

これは素晴らしいことです。

日豪外務・防衛閣僚会議(2プラス2)は、我が国がアジアで唯一正式に設けている外務・防衛戦略対話です。

この会議は、安全保障協力に関する日豪共同宣言から生まれた枠組みで、これは日本が米国以外の国と署名した、この種の文書として最初のものです。

この会議は、オーストラリアが世界で設けている3つの戦略対話のひとつにあたり、他には米国、英国との間にこの枠組みがあります。

日豪外務・防衛閣僚会議は、地域及び世界の安全保障に関して両国が共有する見解や、相互間に存在する敬意と信頼を反映しています。

またここには、両国とも米国の同盟国であるという事実が反映されており、日豪は共に、アジア太平洋地域における米国の存在の維持、関与の継続が不可欠であると捉えています。

日米豪戦略対話や安全保障・防衛協力会合等における協力を通じた日豪協力の強化は、日米、及び豪米関係の強化につながります。

両国は、2008年12月に開催された外務・防衛閣僚会議で、防衛交流覚書に署名しました。

我々は、自衛 隊・オーストラリア国防軍間による共同作業の余地の拡大を視野に、兵站業務での協力に向けた活動を加速するよう誓いました。

ラッド首相と鳩山首相は、昨年12月、東京において、安全保障協力に関する日豪共同宣言を実施するための行動計画を改定しました。

情報共有の安全性を提供する適切な法的枠組みを整備すべく、日豪は協働しています。

両国はまた、防衛兵站業務での相互協力に向けた条約レベルの協定締結のための交渉を開始しています。

協定の締結により、安全保障や防衛課題面での協力の拡大や、第三国における災害救援活動、平和維持活動の共同実施における効果的な協働がさらに容易となります。

自衛隊・オーストラリア国防軍間の協力や相互運用性の強化は、両国だけでなくアジア太平洋地域の安全強化につながります。

オーストラリア政府は、アジア太平洋地域との関係強化を主要外交政策のひとつに据えています。この地域関与強化の中心に位置するのが、日本とのパートナーシップです。

安定及び繁栄し、開かれたアジア・太平洋地域の維持は、日豪両国の利にかなっています。こうした国益の共有は、例えば東ティモールでの平和維持活動協力や、アフガニスタン国際活動における一致した取り組みに反映されてきました。

世界各地への開発援助の提供は人道的かつ日豪共通の国益につながるとの信念の下、両国はこうした活動に長く従事してきた誇るべき実績があります。

日本は主要な援助国として、また我が国の地域パートナーとして、太平洋諸島諸国のグッド・ガバナンスを支援し、こうした国の発展に大きく貢献しています。

日豪は太平洋諸島諸国の安定と経済発展を推進すべく、行動を共にしています。両国は、例えばソロモン諸島や東ティモール等での国造りや開発努力の支援を通じ、 多くを実現できます。

日本は2009年開催の太平洋諸島フォーラムに次いで結ばれたケアンズ協定を是認しました。我が国は日本や他の太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟国と現在、日本がこうした活動の支援に直接関与する度合いを増すためにはどうすべきかを話し合っています。

日豪の外交努力は、20年前のAPEC創立において大きな役割を果たしました。両国はAPECでの現在の活動においてもパートナーであり、オーストラリアは2010年APEC議長国としての日本に期待しています。

両国はまた、ASEAN地域フォーラム や東アジア・サミットといった、重要な地域フォーラムの創立やそれ以降の活動においても協働してきました。

我が国によるアジア太平洋共同体構想を推進する上で、日本と協力できるのを楽しみにしています。

APECが地域で主導的役割を確保するにあたり日豪が貢献したように、両国は地域のニーズに合った新たな枠組み作りを支援できると思います。

我が国は北朝鮮の非核化を促す国際的努力を強く支持しています。我が国は日本や米国、韓国を始め六カ国協議を支持する国々と緊密な行動を取っています。

我が国は今後も北朝鮮核問題の解決のために、日本と緊密に協力していきます。

強固な多国間による不拡散体制、および核兵器のない世界は日豪共通の国益にかなうものです。

このことは、両国が、川口順子元外務大臣とギャレス・エバンズ元外務大臣が共同議長を務める核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)の設立を決定したことにも表れています。

同委員会は核兵器の拡散を防ぎ、核兵器のない世界を実現するという最終目標に向けた国際的な取り組みを新たに活気付かせています。

同委員会は昨年12月に、最終報告書「核の脅威を絶つために:世界の政策立案者のための実践的な計画」を発表しました。

両国が共有する国益は、今年5月に開催される核拡散防止条約再検討会議に向け、日豪間で行われている協議の緊密度にも反映されています。

我が国は、昨年12月に国際原子力機関(IAEA)の新事務局長に4年の任期で就任された天野之弥氏と共に連携していくのを楽しみにしています。

日豪両国はまた、拡散に対する安全保障構想(PSI)に積極的に参加しており、共にPSI演習に定期的に参加しています。

我が国は、昨年12月に日本で開催された第6回アジア不拡散協議(ASTOP)にも参加しました。

これらすべての活動は、両国間に存在する幅広く多様な人的交流に裏打ちされています。

日豪間には100を超える姉妹都市や姉妹州県関係があります。

このような人的交流によって実現したのが次のような活動です。

  • 日本の海岸での日豪ライフセーバー(水難救助員)による協力活動
  • 日本の農村活性化プロジェクトへのオーストラリア人アーティストの参加
  • 両国間で長年続けられてきた交換留学生ホームステイ・プログラムへの数千人にも及ぶ日豪青少年の参加
  • 2008年に開催された独特のアボリジニ美術を紹介するエミリー・ウングワレー展への12万5000人を超える日本人観覧客の来場
  • ユニークなジャズのブレンドを紡ぎだした日豪ミュージシャンによるコラボレーション
  • 世界一流の雪を楽しむために北海道や長野県を訪れるオーストラリア人観光客の増加などに見られる観光を通じた人的交流活動

このような活動の大半は、多くのオーストラリアの学校で実施されている日本語教育に負うところが大きいと言えます。日本語はオーストラリアで学ばれている外国語として長いこと首位の座にあり、現在、日豪間では685校が姉妹校関係を結んでいます。

両国間には素晴らしい人的交流実績がありますが、今後さらなる活発な交流が必要です。

2008年の日豪会議を受け、私は日本の外務大臣と共に、我が国における日本語教育の拡充に向け報告書を作成する日豪作業部会を任命しました。

皆様方には、明日、本報告書を検討していただく機会を設けております。そして、報告書作成にあたりご尽力いただきました、ティム・レスター氏、ならびに関根政美教授をはじめとする両国の本作業部会のメンバーにお礼申し上げます。

我が国のアジア言語学校教育計画(NALSSP)を基盤とした、国内アジア言語活用能力の底上げを図るために必要となる、さらなる活動の根拠を、本報告書が示してくれることを希望します。

日豪関係は強固なもので、その結びつきには多くの要素があります。しかし、両国がすべての課題について常に同じ意見を有しているわけではありません。大変親しい友人間でさえも意見の相違はあるものです。

日豪にとっては、捕鯨がそのような問題といえます。両国は捕鯨に関して非常に異なる見解を有しています。

オーストラリア社会は捕鯨に強く反対しています。我が国の政府は捕鯨に対し、反対の立場を表明してきました。我々は、捕鯨は停止されるべきだと考えています。

しかしながら、我が国の捕鯨反対の立場が、日豪関係全般を重視する我が国の考え方を変化させることはないと、明確に申し上げたいと思います。この問題が両国関係の妨げになるのを看過しません。 

明日の全体会議では、日豪関係に思いを馳せ、以下の点を含む分野について新たな方向性を示していただきたいと思います。

  • 二国間FTA交渉妥結の重要性
  • サービス分野において日豪関係が有する可能性
  • 日豪経済界がアジア市場でより緊密に連携する機会の可能性
  • 言語教育や観光、その他の活動分野で既に活力に満ち多様となった人的交流を、さらに拡大し拡充する方法
  • 今後数十年における地域経済の形成を日豪が共に検討する場としての2010年APEC会議の利用
  • 今後進展する地域的枠組みにおける日豪協力の強化

日豪は、非常に重要で緊密な関係を築いています。この関係には、様々な二国間分野で協力を行ってきた見事な歴史があります。

より重要なことに、日豪は急速に変わり行く世界で直面する課題への取り組むために協力することで、将来的にも大きな可能性を含んだ関係といえます。

最初に日豪関係を作り上げた方々のビジョンを継承し、両国だけでなく、アジア太平洋地域、ひいては国際社会全体に恩恵をもたらすため、今後も日豪関係の構築を続ける多くの道筋について、今夜は簡単にお話しました。

両国は、地域及び世界の問題に対処する上でさらなる協力をすすめ、両国がかつて共に難題を乗り越えたことを自信に、自らに新しい目標を課すことに専心しています。